【書評】「トヨタの会議は30分」

書評

山本大平さんの本を書評です。社会人の方なら必読の本で、自身の仕事のやり方を見直す良い機会になります。

それでは早速始めていきましょう。

「トヨタの会議は30分」概要

著者:山本大平

出版社:すばる舎

出版年月日:2021年4月14日

ページ数:215ページ

著者の山本大平さんは元トヨタ社員。新卒でトヨタに入社し、社内の大会での優勝経験もあるとか。

その後はTBSへ転職。看板番組で多くのプロモーションとマーケティング戦略を手掛けました。

そして2018年にマーケティング会社を設立し、コンサルとしてご活躍されています。

効率化が求められる現代

仕事で求められる能力は、多くがコミュニケーション能力ですよね。仕事は人と人で成り立っている以上、意思の疎通は当然に必要なことです。

著者は根回し等は不要で、会議では問題意識を共有し議題解決に向けた議論をする。メールといったツールも余分な挨拶は省き、スリム化する。

これはGAFAMやBATHといった企業は当たり前に行われている習慣であり、日本の企業にはかなり少ないとのこと。そこで著者は日本経済に危機感を抱いたそうです。

〇かつて求められたコミュニケーション能力と、いま求められているコミュニケーション能力は違っています。

時代の流れとともにコミュニケーション能力も違ってきます。今はとにかく速さを求められる時代となっているのです。

ひとりでできる仕事量はたかが知れているものの、複数人に波及することで急に効率的になるのです。

ビジネスにおいての時間の使い方

トヨタでは会議は30分というのが鉄の掟だったそうです。

30分あれば、とにかくいろんなことができてしまいます。その30分の積み重ねが年間に換算すると、とてつもない労働時間に繋げることができるのです。

例えば筋トレを毎日10分することでムキムキの体になったり、勉強だって毎日1時間やれば記憶されて資格とかの取得もできるようになるのです。

そして30分の会議には次回は何を打ち合わせするのかといった内容も含まれています。

ということは概要といったことを含めると20分~25分で中身の話し合いを終わらせなくてはならないということになります。

こんな時間で話し合いが終わるの?と驚いたのですが、著者は次のようにも述べています。

〇多くの日本企業には「定例会議」なるものが存在していますが、私はそれに出くわすたびに「よくもまぁ、毎月そんなに話すことがあるものだ」と正直、呆れてしまいます。

これも給料がもらえるから、日本のビジネスパーソンは恵まれていると警鐘を鳴らされています。

しかもこれは建設的な会議ではなく、毎月の営業数字の確認や精神論や雑談の話ばかりだと。言われてみればこのような会議ばかりで、これがたしかに何か生産性のある会議かと言われるとそんなことは無いのかなと思います。しかし問題点の共有ができるというメリットもあると思うのですが、これは会議にかかる資料の作成といった手間を考えるとあまり効率的ではないのかもしれません。むしろ簡単な資料で共有すべきなのかもしれません。

議論に入る際のコツとしては、前回にこんな課題に対して、このような結論になったので今回はこんな議論をしますという概要を話す。すると参加者が意識を集中することができ、議論がスムーズなのだそうです。

資料の作り方

トヨタでは、上司も含めた各社員が忙しく、報告に要する時間もなかなかもらえません。そこで大事なのが資料を作り、短時間で上司に報告するという必要があります。

そこでA4用紙一枚で、必要な内容を簡単にまとめ、上司の仕事が切れたタイミングで少し時間を頂戴して報告をするのです。内容としては、案件をこの資料をもとに進めて良いか。を数分で即決してもらうものということです。

資料の作成内容としては、①結論を記載。②自分自身は①のためにどんな調整を行ったのか。③①の経緯を簡潔に。

プレゼンのコツ

プレゼンでのコツもいくつかあります。

まずは聞き手を置いてけぼりにしないために、冒頭にはどんな流れで話を進めていくのか。プレゼンは自分1人で話をするものでなく、相手の理解が第一と考えるべきかと思います。そのため極力、専門用語も控えた方が無難かと思います。

また緊張するときは、相手の顎を見て話すこと。(これは顎でなくても、額でも良いかと思います。)

そして、穏やかに低い声で話すことで安定させることができます。聞き手がより安心して話すことができるのではないでしょうか。

文字での議論をやめる

昨今はメールベースでのやりとりが非常に盛んでありますが、電話でのコミュニケーションが最速と思われます。

本当に都合が悪ければ、相手も電話に出ないことからあまり失礼にあたることではないのです。また数分程度の会話で内容や時間の決定をすることができるので、時間を有用にできます。

伝える力と教育力

部下への教育方法って上司の皆さんはどうされているのでしょうか。

本書では、トヨタという命を預かるメーカーですから、上司部下へは本気で怒って討論されているようです。部下へは本気で怒って叱ることで、相手も本気で受け止めない。また叱責された側も、自分が正しいと思うのなら、相手が上司だろうがなんだろうがきちんと反論しなくてはならないのです。

そして、仕事は苦手な部分も込みでこなさなければなりません。苦手な部分を食わず嫌いして、チャレンジをあきらめてしまうことをやめてほしいです。苦手と思っても多少の時間をかけてもチャレンジしてみてください。なぜなら自分自身の可能性を限りなく潰してしまう可能性があるからです。

最後に

筆者は大手トヨタという順風満帆の存在に見えても、組織にいれば不合理なことに出会うことがあり、何度もやめようと思うことがあったそうです。

〇誰しも不完全な人間なのですから完璧はありえません。

言ったことも忘れますし、都合が悪くなれば態度も変える。それは自分の身の回りにもいるはずですが、大手トヨタの中にも少なからずいる存在です。いつどこで生活をしていても理不尽なことなんて出会いまくるんです。

どんな理不尽な人でも、挨拶は絶対かかさないとか、全ての人に感謝の気持ちを持って接するようになると、周囲の方が自分自身へのかかわり方も大きく変わることもよくわかったと筆者は綴っています。

むしろ理不尽な出来事があった方が人間は成長するのではないでしょうか。

メンタルがきつければあきらめてしまっても良いと思いますよ。

本書を読み、自分の仕事のやり方と比較すると、新たな見え方がしてくるものです。

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